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第2話 新たな出会い

Penulis: 吉乃婆婆
last update Terakhir Diperbarui: 2026-01-30 11:43:51

「そうよね、大変ね。でも、せっかく助かった命ですもの、大切にしてね。ねぇ、これも何かの縁だと思ってまた会いに来てもいいかしら?」

突然の見ず知らずの二人の訪問と申し出に、正直私は戸惑った。しかし、ついさっきまでの不安と重圧が人に話すことで心なしか軽くなった気がして、

「……はい。私は、……かまいません。」

思い切って答えた。

二人はホッとしたような表情でお互いに顔を見合わせ、穏やかに微笑んだ。

「よかったわ。思い切って訪ねて来て。これからよろしくね。」

「はい、こちらこそ、……、よろしくお願いします。」

翌日、昼食を終え一息ついた頃、ふと昨日出会った夫妻のことを思い出した。今までの自分は現状を嘆くばかりで状況を確認する余裕がなかった。しかし、昨日夫妻と話をしてみて改めて私は自分自身について分からないことばかりだと気付いた。

名前や年齢はもちろん、家族や出身地、現在の居住地、またそれらを思い出すための手がかりとなりそうな記憶など何もない。

発見時の服装すら昨日夫妻から聞いて初めて知った。

なんでも、半袖のブラウスに薄手のニットカーディガン、膝下までのスカートに、ローヒールのパンプスだったらしい。近年は暖かいと言えど、9月下旬だ。とても山道を歩く格好ではない。まるで何処かの事務員がちょっとお使いにでも出たような感じだ。

ん?事務員?一瞬机に向かってひたすらパソコンの操作をするイメージが浮かんだ。が、すぐに激しい頭痛に襲われ思考は止まった。

いつもこうだ。先生によると脳が本能的に思い出すことを拒否しているのだろう、と言うことだ。それはそうかもしれない。状況を考えると物理的な衝撃だけでなく精神的にも大きな衝撃があったとしてもおかしくない。いろいろ思い出したい気持ちはあるが、それはとても怖い気がする。今の私に受け止められる気もしない。

その時、優しくドアを叩く音がした。

「はい」

と、答えるとゆっくりドアが開き、昨日訪ねて来てくれた夫妻の姿が現れた。

「こんにちは、早速来てしまいました。今、大丈夫かしら?」

「はい、どうぞ。今お二人のことを考えていた所です。」

「あら嬉しい。じゃあ少しお邪魔させてね」

二人は中に入って来ると、昨日と同じようにベッドの手前にある簡易な椅子に腰掛けた。

「私たちのことってどんな事?」

「昨日教えていただいた事とかです。改めて考えてみると私って自分のこと分からないことばかりだなぁって。」

「そうなの。記憶は相変わらず?」

「ええ、考えようとするとすぐに頭が痛くなってしまって。それ以上に思い出すことへの不安とかも大きくてなかなか…。でもさっき一瞬パソコンを操作しているイメージが浮かんだんです。」

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